1棟収益物件 新築か中古か
新築1棟マンションと中古1棟マンションどちらを選ぶべきか
1棟投資は、「新築1棟マンション・アパート」と「中古1棟マンション・アパート」の2種類です。新築と中古どちらを選んだ方がいいのか悩みますが、特徴が違います。それぞれメリット・デメリットがありますので、ここで整理しておきましょう。
新築1棟マンション・アパートのメリット
1棟マンション・アパートのメリットは次の通りです
メリット1. 融資期間が長く取れる 融資期間はキャッシュフローに直結します。融資期間が長いほどキャッシュフローが良くなります。 RCの法定耐用年数は47年。30年のローンが組みやすくなります。 木造アパートは、法定耐用年数が22年。理屈では法定耐用年数を超える融資はできないことになっていますが、新築アパートも30年のローンが組めることが多いです。
メリット2. 中古物件より高く家賃設定が可能 新築物件は、周辺家賃相場より高く貸すことができます。これを「新築マジック」や「新築プレミアム」と言います。入居者希望者の最重要項目の一つが「物件が新しいこと」。新築は外観も設備もピカピカです。中古にはない強い魅力があるので、多少家賃が高くても決まります。ただし気をつけたいのは、その効果は最初の一度だけ、ということです。次の募集は、新築と同じ条件でで入居者さんを見つけるのは困難になります。
メリット3. 修繕費の負担が少ない 新築の場合、設備が新品なのでなかなか壊れません。、エアコンやIHコンロなどの設備は、時間ともに劣化し交換が必要となりますが、新品の場合は7年から10年は正常に稼働します。
メリット4. 投資効率が良い 総戸数10戸のアパートを購入すれば、10室のオーナーです。対してワンルーム投資で10室オーナーになるためには、10回の取引をする必要があります。その度に融資審査・契約・決済をするのです。ワンルーム投資に比べると格段の速さで投資規模を拡大できます。
メリット5. リスク分散ができる ワンルームを1室しか所有していなかったら、その部屋が空室になれば収入は0です。家賃が6万円で空室期間が1ケ月あった場合、その6万円は自分の収入から支払うことになります。1棟物件の場合は、1室に空きが出たとしても、他の部屋の収入があるので損失をカバーできます。
中古1棟マンション・アパートの「メリット」
中古1棟マンション・アパートのメリットは次の通りです。
メリット1. 家賃が安定している 中古物件は、家賃がこなれています。「新築マジック」のように大きく下落するリスクが低いです。長期入居者さんが退去する際はその部屋だけ家賃が下がる可能性が高いですが、何年か住んだだけでは、賃料は下がりません。
メリット2. 利回りが高い 新築に比べ利回りは高いです。家賃が安定しているので、利回りが大きく崩れることはないと言えます。
メリット3. 投資効率が良い 新築と被りますが、家賃の安定度から見れば、投資効率は中古の方が高い場合が多いです。
メリット4. リスク分散ができる これも新築と同じです。総賃料に対する1室の空室ロスは損失が限定的です。ワンルームの場合、退去が出れば収入は0です。空室ロスは100%自分で補填する必要があります。
新築1棟マンション・アパートの「デメリット」
新築マンション・アパートのデメリットは次の通りです。
デメリット1. 資金力が必要 物件が高額になりますので、ある程度の資金力が必要です。 まず、融資について。 融資の条件として、1割から3割の頭金を求められる場合があります。物件価格が8000万円だとすると800万円から2400万円のキャッシュが必要です。ただし属性・資産背景によってはフルローンの可能性もあります。 2点目は「諸費用」です。 売買に伴い、「仲介手数料」「登録免許税」「取得税」「司法書士への報酬」「固定資産税の清算金」「都市計画税」「印紙代」が発生します。大まかに物件価格の7%です。上記の例で8000万円の物件の場合の諸費用は約560万円となります。
デメリット2. 利回りが低い 新築1棟マンションは中古に比べて利回りが低いです。 しかし、入居者さんを確保しやすいこと・設備の修繕費がかかりにくいなど、デメリットをカバーできるメリットもあります。
デメリット3. 家賃下落のリスク 新築は周辺相場よりも高い賃料(新築プレミアム価格)で募集できます。多少高くても新築を好む人は多いため、入居者さんは見つかります。 ただし新築プレミアムは最初の1回だけだと思った方がいいです。退去があった部屋は最初の賃料では決まりにくくなります。新築から中古になるに従って賃料は周辺相場に近づきます。 大体の目安は5年から7年です。購入時に「新築プレミアム賃料」で収支計算をしていた場合は注意が必要です。予想利回りを大きく下回る可能性があります。 将来の適正賃料を知るには、同じ駅で募集している中古の賃料を調べることです。築年・設備など同程度のマンション・アパートの賃料が将来の適正賃料です。
デメリット4. 流動性が低い 物件価格が大きいので、すぐに買主さんを見つけるのが難しくなります。購入希望者があっても、ローンの審査などで1ケ月程度かかります。ローンが付かなければ、最初からやり直しです。 売却までに時間がかかる場合があることに注意しましょう。
デメリット5. 災害時のリスクが高い 洪水や地震、火災などの災害リスクがあります。 火災保険や地震保険などである程度カバーできますが、例えば「液状化で建物が傾いた」などの時。建物に対する保険は適用されますが、賃料までの補償はありません。(特約で賃料補償が付いている場合を除く)。 災害の可能性は高くありませんが、そのようなリスクがあることも念頭にいれておきましょう。
中古1棟マンション・アパートの「デメリット」
中古1棟マンション・アパートの「デメリット」は次の通りです。
デメリット1. 大規模修繕リスク 一定の間隔で必要になる「大規模修繕」は建物を長く維持するため、入居者さんにいいイメージを持ってもらうために必要です。代表的な大規模修繕は「外壁・屋上防水」でその費用は高額です。 規模にもよりますが、アパートで200万円から500万円。マンションだと800万円以上の費用がかかります。 中古1棟マンションを購入する際は、大規模修繕履歴と屋上の防水を確認するようにしてください。
デメリット2. 設備の劣化 エアコン・IHコンロなどの設備も劣化します。5年から10年で交換が必要になります。 エアコンの交換費用はワンルームで8万円から12万円。ファミリータイプのLDKは、12万円から15万円が目安です。
デメリット3. 融資期間が短くなる 新築1棟より融資期間が短い場合が多い。融資期間が短いとキャッシュフローが出ない。 融資期間は、「構造別法定耐用年数」-「築年数」が基本。法定耐用年数は木造・鉄骨・鉄筋コンクリートによって違う。木造22年・鉄骨(厚さで変わる)17年から34年・鉄筋コンクリート47年とされている。 築20年のRCの場合、「法定耐用年数47年」-「築20年」=27年が最長の融資期間にです。 築10年の木造の場合は、「法定耐用年数22年」-「築10年」=12年となります。 一般的に都市銀行・地銀は、融資期間を延ばすことが難しいです。しかし、一部の地銀や信用金庫では柔軟に対応することがあります。
まとめ
投資用1棟マンション・アパートの「メリット」と「デメリット」は、以上です。 新築1棟で特に気をつける点は、「新築プレミアム」は必ず終わるので、当初の利回りより下がる可能性があること。 中古1棟で特に気をつける点は、「大規模修繕」の際に多額の費用がかかる、ということです。 銀行の評価が高く複数戸をすぐに所有できるのが1棟の魅力です。 規模を拡大するなら1棟マンション・アパートです。