「融資期間」が不動産投資成功のカギ
「融資期間」と「キャッシュフロー」
ローンを組む際の「融資期間」は「キャッシュフロー」に大きな影響を与えます。 手持ちの現金が少ない時、キャッシュフローが出ない物件を購入するのは危険です。大規模修繕が必要になった場合や退去で空室が重なった場合に投入できる現金がないからです。 同じ借入額でも「融資期間」によって、「キャッシュフロー」は変わります。 その違いを見てみましょう。
融資期間は建物の構造で変わる
融資期間は建物の構造により変わります。 構造別に何年の融資が上限か決まっています。
法定耐用年数で融資期間が決まる
建物は次の表のとおり、法定耐用年が定められています。融資の上限は、法定耐用年数を基に決められます。ただし、融資期間は最長で30年が基本です。
構造 | 内 容 | 法定耐用年数 | 融資期間 |
鉄筋コンクリート | 鉄筋鉄骨コンクリート造も同じ | 47年 | 最長で30年または35年 |
重量鉄骨造 | 骨格鉄骨の肉厚が4ミリ超 | 34年 | 最長で30年が基本 |
軽量鉄骨造 | 骨格鉄骨の肉厚が3ミリ超4ミリ以下 | 27年 | 最長27年 |
軽量鉄骨造 | 骨格鉄骨の肉厚が3ミリ以下 | 19年 | 最長19年 |
木造 | 22年 | 最長22年 |
中古物件の場合
中古物件の融資期間は「法定耐用年数」-「築年数」の計算です。 例えば、築20年のRCは「47-20」=27年が最長融資期間です。同じように築20年の重量鉄骨造は「34-20」=14年、築20年のアパートは「22-20」=2年となります。
不動産ローンの返済金額は構造・築年で変わる
構造と築年数でローンの期間・返済額は変わります。 融資期間と不動産ローン返済金額の関係を見てみましょう。
「8000万円のローン」で比較
築10年の場合
築10年の構造別融資期間と返済金額 金利1.5%とする。
築年数 | 融資期間 | 返済金額/年 | |
RC | 10年 | 47-10=37年(30年か35年が最長)今回は30年で計算 | 331万円 |
重量鉄骨 | 10年 | 34-10=24年 | 397万円 |
木造 | 10年 | 22-10=12年 | 729万円 |
築20年の場合
金利1.5%とする
築年数 | 融資期間 | 返済金額/年 | 融資期間10年との差額 | |
RC | 20年 | 47-20=27年 | 360万円 | 29万円 |
重量鉄骨造 | 20年 | 34-20=14年 | 634万円 | 237万円 |
木造 | 20年 | 22-20=2年 | 4063万円 | ▲3307万円 |
※木造で融資期間2年は組まないと思いますが、比較をみるため計算しました。
築30年の場合
金利1.5%とする。
築年数 | 融資期間 | 返済金額/年 | 融資期間10年との差額 | |
RC | 30年 | 47-30=17年 | 533万円 | 202万円 |
重量鉄骨造 | 30年 | 34-30=4年 | 2061万円 | ▲1664万円 |
不動産ローン 融資期間とキャッシュフロー
上記の様にRCの場合、返済期間10年と築30年では、ローンの返済金額に202万円/年の開きがありました。 仮に、表面利回りを10%・年間家賃収入800万円だとすると、それぞれのキャッシュフローは「築10年は469万」に対し、「築30年は267万円」です。 借入額が同じでも、築10年と築20年では年間キャッシュフローが「200万円」も違います。 さらに別の例で考えてみましょう。 条件は同じく価格8000万円・金利1.5%とします。
RC新築物件を融資期間30年と35年で比較
銀行によっては、RC新築物件に35年の融資が付きます。 期間30年と35年のキャッシュフローを見てみましょう。
融資期間30年の場合
年間返済金額331万円
融資期間35年の場合
年間返済金額270万円 同じ物件で融資期間が5年延びると、年間CFは約60万円増えます。月に換算すると5万円。大きな差です。 新築を購入するなら融資期間35年を狙いましょう。
木造新築物件を融資期間22年と30年で比較
新築の木造住宅は「劣化対策等級」2級以上を取得すれば、融資期間が30年になる場合があります。 通常は法定耐用年数の22年です。比べてみましょう。
融資期間22年の場合
年間返済金額:427万円
融資期間30年の場合
年間編策金額:331万円 年間キャッシュフローの差は、96万円(月8万円)です。ワンルームなら1部屋の賃料に匹敵する金額です。
まとめ
このように融資期間が延びれば、キャッシュフローは大きくなります。 「返済は短い期間で借りて、なるべく早く返す」という意見もあるかと思いますが、それは資産家さんの考え方だと思います。 不動産投資は長期間の事業。 「なるべく長く借りて、ゆっくり返す」ことが成功への近道です。 手元になるべく多くのキャッシュを持っておくことで、大規模修繕など不測の事態に備えられます。また、キャッシュがあれば投資規模を拡大する際にも、頭金や諸経費などの工面で苦労することもありません。