概要書に記載されていない諸経費に注意!
1棟マンション・アパートの 諸経費
収益物件の運営には、様々な経費がかかります。 表面利回りは、「賃料収入」÷「物件価格」ですが、 実質利回りは、「賃料収入-経費」÷「物件価格」です。 購入後に「それは知らなかった」となれば、当初の収支計画に大きな違いが生じます。 そのようなことにならないように、必要経費の項目・内容・費用などについて確認しておきましょう。
経費の種類
1棟マンション・アパートにかかる経費は次の通りです。
1.管理費 2.日常清掃・定期清掃 3.エレベーター点検 4.受水槽点検 5.消防設備点検 6.固定資産税 7.空室ロス |
諸経費の内容と費用
それぞれの内容と費用について確認します。
1.管理費
入退去管理・空室の募集・退去時清算・契約業務・賃料集金の代行・クレーム処理などを行います。 管理料は内容により異なりますが、通常3%から5%です。
2.日常清掃・特別清掃
日常清掃の内容は、共用部の掃除・ポスト投函物の整理・ごみ置き場の清掃などで、入居者さんが気持ちよく生活できるように行うものです。 頻度は1週間に1回や2週間に1回など。規模や回数によって金額は変わりますが、概ね1万円から3万円です、 特別清掃の内容は、共用廊下の高圧洗浄・エントランスのポリッシャー洗浄などです。主に建物の美観を保つために行います。 価格は規模・内容により異なりますが、例として共用廊下の高圧洗浄は、清掃する床面積が200㎡くらいで3万円から5万円くらいです。 物件を綺麗に保つことは重要です。エントランスや廊下などが雑然としていると、その状態は他のところにも波及します。ポストの郵便物が投げ捨てられていたり、ごみ置き場に放置物が増えたりして物件の印象がとても悪くなります 乱雑な印象を与える物件は、ご案内しても、まず決まりません。
3.エレベーター点検
エレベーターの点検は、3種類です。
- 定期点検報告
- 性能検査・定期自主検査
- 保守点検
定期点検報告
ホームエレベーター以外のエレベーターが対象で、定期検査の結果に基づいて、定期検査報告書を作成し、特定行政庁に報告する義務があります。
性能検査・定期自主検査
積載量1トン以上のエレベーターが対象で、年1回の性能検査と月1回の自主検査(点検)を行わなければなりません。 定期点検報告と性能検査は、両方受ける必要はなく、どちらか一つで大丈夫です。
保守点検
保守点検は「努力義務」で、罰則等はありません。
■コスト
毎月の保守点検と年に1回の定期検査報告を依頼した場合で、月3万円から6万円がざっくりとした相場です。
4.受水槽点検
10立方メートル以上の受水槽
水道法により「1年に1回以上」の定期点検と清掃が義務付けられています。 内容は、「受水槽内清掃」「構造点検」「水質検査」の3項目。構造点検は、受水槽からの水漏れや躯体にヒビがないか、などを点検します。
10立方メートル未満の受水槽
大きさが10立方メートル未満の場合には、自治体ごとの管理基準に基づくメンテナンスを行わなければなりません
■コスト
20世帯で「受水槽清掃」「構造点検」「水質調査」を合わせて4万円から6万円が相場です。
5.消防設備点検
消防設備点検は2種類あります。 消防法により、その内容が定められていて、検査報告の義務があります。
機器点検 | 6カ月に1回 | 正確に配置されているか、外観を確認 |
総合点検 | 1年に1回 | 実際に起動させて、正確に作動するか確認 |
総合点検は通常、機器点検と同時に実施します。
■コスト
20世帯で3万円から5万円が相場です。
6.固定資産税
固定資産税額の計算は、土地や建物の場合、「課税標準額×1.4%」が基本です。 「課税標準額」は、固定資産税課税台帳に登録されている価額で、毎年送られてくる固定資産税課税明細書に記載されています。 他人が所有する不動産の課税標準額を知りたい場合は、各市町村にある固定資産課税台帳を閲覧することで確認できます。
7.空室ロス
経費として見落としがちなのが「空室のロス」。 退去があると、「リフォーム」「ルームクリーニング」「募集費」など、大きなロスが発生します。 例えば、家賃8万円の部屋に退去があり1カ月空室だった場合、 ・オーナー負担リフォーム代 5万円 ・募集AD1カ月 8万円 ・空室期間ロス 8万円 合計で21万円もの収入減となります。 経費削減には、退去を出さない努力と空室になってもすぐに埋まる「差別化された部屋」と「管理会社の募集力」が重要です。
まとめ
1棟アパート・マンションの運営には「コスト」がかかります。 表面利回りは、あくまで表面の数字で「年間賃料収入」÷「物件価格」です。 実質利回りは、「(年間賃料収入)-(年間諸経費)」÷「物件価格」です。 経費は物件検討時の販売図面には書いてありませんので、注意しましょう。 賃料に対する年間経費率は、新築で15%、中古で20%が目安です。